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※入門的な事も書いてないですし、困ってなければ特に見る必要も無いようなページです。
   間違えてる箇所がある気もしますので、なにかされる場合は自己責任でお願いします。

0、コンバートEV、コンバージョンEV、改造EV

若干このページアクセス増えてるようなので、ちょっとだけコンバートEVについ説明してみます。
10年以上コンバートEVという言葉を使ってきましたがここ1、2年でコンバージョンEVやら改造EVという名前が出てきてgoogle検索が面倒です・・・。海外でもElectric VehicleではなくElectric Carと呼んだりして面倒ですけど・・・。

メモ

※建物側の電気は自動車の電装と考え方が大きく違う部分があったり、電力会社との契約や内線規程等、数多くの縛りがありますのでその辺要注意です。基本的に、充電の際の負荷は従来の如何なる家電機器とも異なり最大負荷が連続してかかるので既存の配線ではなく専用線を用い、また、充電用コンセントも専用品を使用することになっています。

コンバートEV(コンバージョンEV、改造電気自動車)とは

電気自動車(EV:Electric Vehicle)は、ガソリンエンジン車より性能が良かった時代-->オイルショックや戦争で燃料が手に入らなくなった時代-->光化学スモッグなど自動車の排ガスが問題になった時代-->地球温暖化防止&脱化石燃料が求められる時代、と時代によって求められる事は違いますが何回もブームっぽいものがが来ては消えを繰り返しています。

コンバートEVはエンジン車を電気自動車に改造(コンバート)した電気自動車です。
コンバートEVは米国で多く行われており、長年営業しているコンバートEVのパーツ屋さんが何件もあります。最も古い会社は1979年(第2次オイルショックの時から)から営業をしてるそうです。米国に行った時、普通の本屋さんに寄ったらコンバートEVのDIY本が置いてあってビックリしました。

コンバートEVは安く作れるというような記事をよく見かけますが、コンバートEVは安いのではなく、色々な物を切り捨てて安く作っています。i-MiEVやLEAFと同じ性能のEVを作ろうと思うと、とてもとてもあの値段では作れません(部品取りでLEAFを買ってきてコンバートした方がはるかに安いです)。もしコンバートEVの会社に改造を依頼される場合は自分で作るより頼みやすい分慎重に考えた方が良い気がします。

(LEAFを使ってコンバートにチャレンジして失敗した方がいる噂を耳にしました。最近の車は無駄なところまでコンピューター通信して管理してますので、全く動力と関係無さそうな線を外しただけで動かなくなる可能性が結構高いです。結構大変なので安易に考えないほうがいいと思います。)

時々、電気(代)はガソリンより安いから・・・という理由でコンバートしたいという方がいますが、最終的におそらく高く付きます。金額ではなく、EVという内燃機関とは違う乗り物を、良いところも、駄目なところも楽しんで欲しいなと思います。

今までは購入可能なEVが世の中に無く、自分で作るしか道はありませんでしたが、ようやくi-MiEVやLEAFが販売されるので、今からコンバートを考えてる人、特にメインで使用する車として考えてる場合は、そちらを候補にする事を強く強くオススメします。

最近、コンバートEVを事業で行おうという会社が多すぎるように思えます(そこまで需要があるとも思えないので)。電池寿命の保証とかどうするのかな?と怖い感じです(話を聞いてみると電池メーカーと交渉します的な事を言ってたりしますが、その事は置いといてもBMS廻りのトラブルが原因だと交渉も何もないわけで・・・)。 新聞やTV等にも出た事のある結構有名な会社で技術的に駄目駄目な会社もあると風の便りで届いてますのでもし頼まれる場合は慎重に。

部品の選定

過去の話は無かったことにしてEV元年とか騒がれてる現在(2009-2010年)でもコンバートEVのパーツは入手性、価格の問題から直流直巻モーター、鉛蓄電池が主流です。
手堅いところで部品を選ぶとAdvanced Motors and Drives (AMD、旧Advanced D.C.)の直流直巻モーター、Curtis Instrumentsのコントローラー、Panasonicの鉛電池EC-FV1260が主要な動力部品になると思います。
部品の選定は、米国で長く店を構えているコンバートEVのパーツ屋さんのカタログや、過去のコンバート例を見ればそれなりの部品が選べると思います。

モーター

直流直巻モーターがコントローラーも含め一番安値で定番ですが、基本的に回生ブレーキは使用出来ません(出来ないこともない)。

IM(インダクションモーター)は高価ですが稀に出物があったり、AC50など小さめの物は比較的安く購入出来たりするようになってきました。

PM(永久磁石式同期モーター)はスクーター用程度の小さな物で中国製の安いのがありますが、コンバートEVに使える大型の物は高価だったり、個人向けに販売されない場合も多いです。ぼちぼち良さげなのが出て来ました。

モーターはカタログを見ると最大出力に短時間定格と連続定格が書いてあることからも分かるように、どのモーターも最大出力で長時間全負荷で使用出来ません。選ぶ時は単純にカタログの最大出力だけで選ぶのではなく、実際に使用する負荷に応じて選ぶ必要があります。基本的にはモーターは大きめの物を選んだ方が良いと思います。 直流直巻モーターの場合、モーターの選定を変えてカタログ上の出力が変わっても、電圧・最大電流が同じなら実際の最大出力はさほど変わりません(熱的に余裕が出来ますし、効率も良くなる方向かと)。

電池

コンバートEVでは価格、入手性から鉛電池が未だに主流です。(という訳でも無くなってきましたが)。

ハイブリッド車はNi-MH電池が全盛ですが、EVに関してはすでにNi-MHは選択肢に入らないと思います。

リチウムイオン電池も価格が高価な上に個人には門前払いで販売して貰えない場合も多くハードルが高いです。
海外のコンバートEVショップでは中国の電池が売られています。以前は酷かったようですがこなれてきて良くなってきた物もあるみたいです。評判とか確認したり慎重にした方がよさそうですが。

リチウムイオン電池は鉛電池よりも管理が楽ですが、安全や性能維持の為に過充電、過放電、異常発熱等を監視する BMS ( Battery Management System ) が必須となります。
LiFePo4は燃えないと言う方もいますが燃える時は燃えますので慎重に。一言にリチウムイオンと言ってますが種類も多様で公称電圧から大きく違うものがあります、種類が同じでも品番違いで電圧範囲が違ったり特性も大きく異なる物があります。

これだけ普及してるHEV用のNi-MH電池を買おうとしても普通には入手出来ないように、EVがある程度市場に出回っても自動車メーカー向けに量産される電池はコンバートEVのラインには流れてこないのでは?という気がしてます。

電池はカタログ値ではなく使ってみないと分からない性能も沢山あります。EV用に作られた電池と汎用の電池では求められている性格が大きく異なります、単純に見かけ上の数値だけで比較するのは間違いの元だと思います。

電池はエンジン車のガソリンタンクに相当しますが、それだけでなくエンジンにも相当すると思います。電池が変わるとアクセルを踏んだ時や回生のフィーリングも結構異なったりします。

コンバートEVの情報

コンバートEVの最新の情報は、DIY Electric Car、Electric Vehicle Discussion List等のForumで盛んに議論されてますので大変参考になります。もしドラッグレース等直流直巻モーターの限界を試したい人はYahoo! GroupNEDRAとかが参考になると思います。NEDRAの競技規則もよく出来ていてレース用の車両を作る時の参考になると思います。レースの規則だとTTXGPFomula SAE等も参考になるかと思います。

バイクの場合は2009年からオフロード、オンロード共にレースが盛んになりつつありますのでその辺の車両等をチェックするといいのでは?。

日本ではコンバートEVのイベントや情報は日本EVクラブに多く集まってると思いますので、イベントに行って実物を見たり、年に一回出る会報に載ってる会員のコンバート例を眺めたり、が最初にすることでしょうか??

試乗

EVの場合ちょっと試乗しただけでは実際に必要な性能の部分は分からなかったりします。どんな駄目な電池でも近所をちょろっと位だとそれなりに走ってしまいますし・・・。EVの事がよく分からなければとりあえずEVのレンタカーを何日か借りて使って見ることをお勧めします。

日本の技術は一番

日本の部品に拘ろうとすると無駄に高価なだけだったり、意外と性能が低かったりするのであまり拘らないほうがいいと思います。日本の技術が優れているのは量産した時の品質と職人技の部分だと思います。高性能なEVを作ろうとすればするほど日本で部品が入手出来ないので海外に発注する事が多くなったり・・。意外にイタリアとかイギリスの部品が良かったりするのが面白いところです。

資格

EVやハイブリッド車を業務で触る場合は低圧電気取扱い業務に係る特別教育講習(自動車の整備に限る)を受けておく必要があるかと思います(技術的な資格ではなく労働安全衛生法による安全のための講習です)。基本的には社内で講習すればいいのですが他の会社に移ると効力が無くなります。 建物側の配線を行う場合は電気工事士等も必要になる場合があります。

逆接続

乾電池等で動作するものや自動車の12V系の電子部品の多くは保護回路が入っていて逆接続しても壊れない場合も多いですが、EVの場合多くは電池の逆接続等の接続ミスを許容しません。念入りに配線をチェックし電源を投入する前にテスターを当てる等、重ねて確認する必要があります。色だけで判別してると落とし穴に・・・。

絶縁手袋

活電部に触る必要がある時は安全の為に使用電圧が明記されている絶縁手袋を必ず使用して下さい(DIY店や作業着屋には在庫は無いと思います)。もし見つからないときは通販サイトのMonotaRO三恵工業等で購入出来ます。保護めがねも適時お忘れなく。

感電災害は労働災害の中でも最も致死率の高い災害の一つですので、作業する人はその辺り意識しておく必要があると思います。

漏電

何だかんだと、電気はどこからか漏れたりします。それなりの電圧がある自動車メーカ製のEV、HEVには漏電検出回路が入っています。ありがちなのが充電器のアースを取り忘れて交流成分が電池を介してボディに回りこんで雨の日にピリっとすることです。充電器のアースはお忘れなく。

コンバートEV、改造EVは商売になるのか?

TVや新聞で改造EVビジネスがなんとかかんとか、1兆円産業とか言われたりしますが、私の受けてる印象ではコンバートEVの需要ほんのわずかですし、日本では大きな商売にはなりようがないと思います。

まあ私の意見なんぞより、長年メーカー製のEVやコンバートEVを見てきたライターの木野さんの記事やNISSANでハイパーミニの開発をされた平野さんのtwitterを見てもらった方がいいと思います。

自分で作る分には楽しいですが商売にするには大変だよなあという話です。

環境問題とEV

前回のEVブーム、EV1やRAV4EVが出た頃はまだCO2削減は叫ばれてなく排気ガス対策としてのEVでした。現在は脱化石燃料やCO2削減としての役割を求められています。
日本では今のところエンジン車をEVに置き変えるだけの動きだけですが(今のEVの補助金制度にはかなり違和感を覚えます)、ただ変えただけでは効果は不十分で国のエネルギー政策やエネルギーの供給構造を変えて行かねばならないと思うですが、いまだ原子力だけにしがみついたままで・・・。決定打は今の所無い訳で多様な物を地道に進めていくしかないと思います。
EVが仮に求められてる役割を果たせなくても内燃機関と違った楽しみもありますしEVそのものを意味が無いと否定する事は違う気がします。

ちょっと脱線しますが、エネルギーの削減ってそれぞれに危機意識が無いと難しいと思います。例えばエコポイントを使ってブラウン管から大型の液晶TVに買い換えてエコだと思ってたら消費電力が実は増えていたというのが分かりやすい例で、制度を作る側、販売側、購入者、全てに危機感が薄いのでそんな事になるのかな思います(エコカー減税とか車でも全く同じことがあったりしますよね)。
技術が進めば解決出来るんでしょ!という人が多いと思いますけど、自動車のCO2排出量の推移を見てると技術だけ進んでも解決出来ないだろうなと思います。

EVの航続距離の短さは、日頃いかに膨大なエネルギーを消費しているかを実感できる鏡のような事でもあって結構大事な事なのかなとも思います。負け惜しみではなく。

a、単位換算

コンバートEVでよく使う単位のまとめ(値は丸めてます)

表1、単位換算表
トルク 1 ft-lbs(ft-lb) = 1.36 N・m = 0.138 kgf・m
重さ 1 lb(lbs) = 0.454 kg  
長さ 1 inch = 25.4 mm  
仏馬力 1 PS = 0.736 kW  
英馬力 1 HP = 1.014 PS = 0.746 kW
車速 1 MPH = 1.609 km/h  
距離 1 mile = 1.609 km  
 
3/16 inch 0.1875 inch 4.763 mm
1/4 inch = 0.25 inch = 6.35 mm
7/8 inch = 0.875 inch 22.23 mm
1・1/8 inch = 1.125 inch = 28.58 mm

b、コンバートEVにおける直流直巻モーターの取り扱い

コンバートEV向けの直流直巻モータの取説はNetGain Motors, Incのユーザーズマニュアルが適当な所でしょうか。
(上のメニューのInfomationの一番下WorP Motor End User Manual )。

モーターからは離れますが直流モーター用のコントローラーのZillaのブログのFAQも色々と参考になります。

c、モーターの回転方向と進角、火花

ADVANCED D.C.の直流直巻モーターについての話です。
コンバートEVで使用するモーターの多くは回転方向が決まってます。KTAのカタログを見るとリバーシブルと書いてありますが全負荷で使える訳ではありません。逆回転で使用しても後退に使用する程度なら問題無いのですが、全負荷で使用するとブラシからの火花が多くなりモーターを損傷する場合があります。
回転方向は図面上では「DESIGNED TO OPERATE IN C.C.W. ROTATION」のように記載されています)

KTAのカタログに記載の大き目のモーターのほとんどがCCW(反時計回り)用です。モーターの出力軸からモーターを見て左回転の時がCCWです。CCWの場合HONDA車以外の殆どのエンジンと回転方向が同じになるのでそのまま使用出来ます。

表、ADVANCED D.C.モーターの回転方向
品番 回転方向(軸端からモーターを見て)
140-01-4009 CW(端子が出てないので逆転不可)
A00-4009 両回転(回転方向無し)
K91-4003 未確認(おそらく両回転?)
L91-4003 CCW
203-06-4001A CCW
FB1-4001 CCW
※CW:時計回り、CCW:反時計回り
図、回転方向

CW用をゴーカート、CCW用をコンバートEVで使用する場合、多くのエンジン車と回転方向が同じになるので問題ありません。
しかし、以前のHONDA車のような一部のメーカーはエンジンの回転方向が逆になる為CWで使用する必要があります。その場合CCW用のモーターを配線を繋ぎ変えただけでCWで全負荷で使用すると、ブラシから激しく火花が発生してモーターを損傷する可能性が高いです。

ブラシから火花が多く出る場合

  • 進角が逆(回転方向を間違えてる)、進角が足りない
  • 電圧が高すぎる
  • 電流の流しすぎ

等の原因が考えられます。

 

---以下マニアな人向け---

KTAのカタログの範囲内のスペックで普通の走行をする場合はそうそう問題は起きないと思いますが、モーターを逆回転で使用する場合・レース用の車両でブラシからの火花で困ってる場合は進角を変更する事で火花を減らせるかもしれません。またERKで使われるA00-4009モーター等は進角が付いて無いので、付けることで下のトルクが減りますが上まで回るようになり乗りやすくなります。
(ブラシの進角は需要な部分なので分からなければいじらない方が賢明です)

進角の目安はフィールドコイルの取り付けボルトのラインに対してのブラシ中心の取付角度で大体12度位が目安でしょうか?・・・。
(ローターのコイルの巻き方によって角度が変わってくると思いますが、コンバートEVで使われてるタイプのADVANCED D.C.の場合こんな感じだと思います)。

下の写真はCW(ERK用)の場合の方向です(コンバートEVは逆向き)。

図、進角方向(矢印の方向にブラシを動かす)
図、進角用の取付穴

一番簡単な進角を変更する方法は、ブラシ側のエンドケースの取付け穴をボール盤で空け直してタップを立て直す事です。6度刻み程度で数箇所タップを立てておくと良いと思います。右上の写真はCW(ERK用)の場合の方向です(コンバートEVは逆向き)。モーターの改造はこのサイト等が大変参考になります。

モーターによっては最初から進角用の取付穴が数箇所空いてる場合があるのと、同じ品番のモーターでも途中で設計変更が入ってロット違いで進角値が変わってるものが稀にあります(ex.XP-1227)。無段階で進角を変えられるように加工する方もまれに見かけますし、LEMCOやAgniモーターは元々スライドさせて進角出来るようになっています。

d、ブラシの当たり

Advanced Motors and Drives (AMD)(旧ADVANCED D.C.)の直流直巻きモーターについての話です。

ブラシの素材が比較的硬めなので、ブラシの当たりが良くなるまでに時間がかかります。新品だと半分程度しか当たってない場合もあります。紙やすりを逆向きにコンミテータに巻きつける等してブラシを削っておいた方が調子が良くなるかもしれません。

特にERKで使用するA00-4009の場合等は、ブラシの表面がギザギザになっていて当りが付きやすそうにしていますが、相当走り込んでも削れなくて当たりが付かなかったり・・・。
当たりが付いてなくても普通に走れちゃいますけど・・・。

当たりが付いてないと、ローターへの通電のON-OFFのタイミングや回路数が変わる可能性があります。逆にブラシを削っての当たり面を細くする人もいたりします。

KTAのカタログ上でL91以上のサイズのADVANCED D.Cのモーターはブラシが二列になっています。

図、ブラシの当たり

e、モーターの損傷 、熱

Advanced Motors and Drives (AMD)(旧ADVANCED D.C.)の直流直巻きモーターについての話です。

モーターの損傷の仕方には色々ありますが、少なくともモーターから固形物が出て来た時は何らかの損傷を受けていますので修理が必要です。

考えられる原因は

  • 過負荷(発熱しすぎ):ワニスが溶け絶縁が甘くなったりコイルを固定しているファイバー(右下写真矢印部)がほつれたりする事があります。
    レース用以外の使い方でこうなる場合はモーターのサイズを含め仕様を見直す必要がありそうです。多くの場合フィールド側ではなくローター側が破損します。右下の写真の様にローターの出力軸側に冷却FANが付いており冷却風はフィールドコイルとローターの表面の間を流れます。他のメーカーで別体のFANを付けたり入口を変えてるモーターもあります。
  • 過回転:無負荷で回転させた場合に壊してしまう場合があるようです。コンミテータが剥がれたりします。
  • 火花:ブラシからの火花が極端に多い状態で長く使用を続けると、コンミテーターの損傷や、ブラシホルダーが溶けたり、コンミテーター側のファイバーが焼けたりします。
  • 異物:異物を噛んでブラシが欠ける事があります。

 

ADVANCED D.C.のモーターの場合、基本的に耐熱クラスはH種ですので180度の耐熱性があります。サーキットでタイムアタックをする場合はモーターの外側の温度で80℃程度が限界のようです(状況でかなり違いますが)。もし発熱で壊れるのならば、モーターのサイズ、コントローラー電流、減速比を見直す必要があると思います。
一部国産のH種以下の耐熱クラスの低いモーターを使う場合がありますが熱的に厳しいような・・・。

リチウムイオン電池を使う場合、パワーもしくは航続距離が増える方向だと思うので、大き目のモーターを選んだほうが無難だと思います(電圧・電流が同じなら実際の出力はさほど変わらず熱的に余裕が生まれます)。コンバートEVショップにならぶ旧ADVANCED D.C.のラインナップでサイズが足りなくてもNetGain MotrsとかKostov Motorsに大きいのもあります。

モーター内の絶縁の確認はメガー(絶縁抵抗計)を使用します。かなり無理する使い方をする場合は持っていたほうが安心です。ブラシの粉によりメガーで針が振れる場合があります、この場合はモーターを清掃すれば治ります。

熱とか、火花以外の不具合として、ブラシホルダーを取り付けてるかしめが甘くなって、ブラシホルダーが台座の部分とカタカタ動くようになってるのを見た事があります。ブラシがスティックしたこともありました。

下表に絶縁の耐熱クラスを示します。多くのモーターはH種まで、汎用モーターではF種以下が多いと思います。EVで使うとH種より下のモーターは厳しいのではと思います。

表、各種絶縁の許容最高温度(JIS C 4003 1977)
絶縁の種別 許容最高温度 ℃
Y 90
A 105
E 120
B 130
F 155
H 180
C 180を超えるもの
※1998年版の改定でC種は細分化され25℃間隔で
200、220、250と 温度の数値で呼称する規格となった。
図、ローター(X91-4001)

f、電池の端子

電池の端子は締め付けトルクが指定されているはずです。内部構造にもよりますが締めすぎは電池内部を壊す可能性があります。逆に締め付けが弱いと大電流で発熱して焼けてしまいます。適度なトルクで締める必要があります。

電池の端子のネジにはスプリングワッシャや皿ばねワッシャを併用するとネジが緩んでも少しテンションが掛かってくれるので多少安全サイドに振れるかなと思います、締め付け作業も分かりやすくなりますし。

電池の結線は安全のため一人で作業した方が良いです。また、疲れて集中が切れてる時には次の日に作業を持ち越したほうが良いと思います・・。

電池間を繋ぐ短い電線にプラスマイナスをわざわざ明記してる線があって、その表記だけを信じ何も考えずに接続してショートさせているのを見たことがあります。電池の置き方によってはどうしても間違えてショートさせやすい配置になってしまいますので接続する時はご注意ください。

バチッ!

g、通信

E-meter(Link 10)とか、zillaのコントローラー等はRS-232Cでパソコンと通信が出来ますが、リバースケーブルが必要です。マニュアルには書いてなかったり・・・。もし米国物で通信が出来ないときはRS-232Cのリバースケーブル(インターリンクやクロスケーブルとも呼ばれます)も試してみるとうまくいくかもしれません。

マニュアルに書いてありますがE-meterは通信ラインも絶縁されてませんので通信させる時は絶縁アダプターをかませる必要があります。最近は結構安いのがありますので作るよりはそれを使ったほうが楽な気もします。

最近のPCはRS232C端子が付いてないので変換する必要がありますが秋月電子等で売られてるPL2303チップの物が安くて64bitでも使えてお勧めですが、通信スピードが早い場合はUSB2.0対応の物が必要です。

ISOLATOR
図g-1、RS232C絶縁アダプター
図g-2、USB-RS232Cアダプター
ISOLATOR
図g-3、USB2.0-RS232C絶縁アダプター

h、プリチャージ回路

インバーターや直流直巻用のチョッパ式のコントローラーには平滑の為コンデンサーが大容量です。その為、電源を投入時コンデンサーに向けて一気に電流が流れ込みスイッチの接点に火花が飛びやすくなります。
プリチャージ回路はメインのコンタクターがONになる前にプリチャージ抵抗(セメント抵抗等)を通してコントローラーのコンデンサーをあらかじめ充電し、コンデンサへの突入電流によるコンタクターの接点の焼損を防ぐものです。
(コンタクターのコイル側に入れるダイオードはコイルの逆起電力を逃して接点の焼損を防ぐものでこれとはまた別のタイプの話です)。

オールブライトSW200のコンタクターとカーティスのコントローラー、鉛電池の組合せではコンタクターの接点は溶着することはないと思いますが(コンバートEVの多くはプリチャージ回路を使用してないかなと思います)、 PanasonicやKilovacのコンタクタを使用する場合や、リチウムイオン電池を使用する場合は接点が焼ける可能性が高いと思いますのでプリチャージ回路を設けた方がいいと思います。
抵抗にはセメント抵抗やメタルクラッド抵抗が使われます。リレー等も含めた完成品で売ってるコンバートEVショップもあります

ZIllaやT-REX、SEVCON等のコントローラーはプリチャージ回路が内蔵されていますが、コンバートEVでよく使われる品番のカーティスのコントローラーにはプリチャージ回路は内蔵されていません(取説に外付けの抵抗を付けるように指示がありあります。しかし取説の通りにするとコンタクターがOFFの状態でも常に電圧が加わってしまいます。電圧が高めの場合にはプリチャージ抵抗と直列にスイッチやリレー等を入れて遮断出来るようにしたほうが良いと思います。)。

コンタクターの多くは接点が溶着していてもコイルをON-OFFした時にカチカチと普通に動いているような音がするので注意です。

プリチャージの例として初代プリウスの動作説明をします。
プリウスにはメイン、マイナス側、プリチャージ用で同じコンタクター(EVリレー)が3つあります(下図)。
まずマイナス側のコンタクタをONにし、次にプリチャージ用のコンタクタをONにするとプリチャージ抵抗(セメント抵抗)を通してコントローラー等のコンデンサーが充電されます。そしてコンデンサーが充電された頃メインのコンタクタがONになります。

コンタクター(EVリレー)を入れる順番
マイナス側ON-->プリチャージ用ON-->(抵抗を介してコンデンサー充電)-->メイン側ON-->プリチャージOFF

プリウス プリチャージ回路
図、プリウスのプリチャージ
図、メタルクラッド抵抗とセメント抵抗

i、モーターの特性(コントローラー含んでの)

EV用のインダクションモーターやPMモーター(永久磁石形同期モータ)では多くはトルク一定の領域の後に出力一定の領域が来るような特性になります(下図i-1、i-2)。

図i-1 TOYTOA RAV4 L EVのモーター出力特性
(※電気自動車ハンドブック,電気自動車ハンドブック編集委員会,丸善,2001)
図i-2 NISSAN LEAFのモーター出力特性(赤線が出力kW)
(※自動車技術ハンドブック 設計(EV・ハイブリッド編),
自動車技術ハンドブック編集委員会,自動車技術会,2011を元に作成)

時々モーターは0回転から大きなトルクが出るからトランスミッションが要らないという解説がありまが、自動車用としてはこの出力一定の領域があるから要らないという理由の方が大きいと思います。出力一定の領域内だと変速しても最大駆動力は変わりません。
例えば左下i-3図の様なモーターを仮定してみます。0~4000rpmでトルク一定、4000rpm~15000rpmで最大出力一定とします。適当な5速ミッションを付けると右下i-4図の走行性能になります。 最大トルク一定の範囲内で変速すると車速がAの時のようにギヤ比に応じた駆動力となります。次に最大出力一定の範囲内の車速がB(160km/h)の場合を見ると1速 14950rpm、2速 10180rpm、3速 7550rpm、4速 5710rpm、5速 3990rpmとなりますが最大駆動力は338kgとどのギヤでも同じになります。減速比固定の場合最大出力一定の割合が広いモーターの方がより向いてるのかなと思います。

EVはどこまでも同じ加速をするという解説をする方もいますが、加速度という意味ではトルク一定の区間をすぎれば下がる一方です。段がなく続く、同じパワーが続くという意味もあると思いますし、たまにトルク一定の区間のみ使う場合もありますけど・・。

「このエンジン(車)パワー(トルク)あるよね」とか使いますが駆動力を感じるのか、パワーを感じるのか、トルクを感じるのか、それとも特性を感じてるのでしょうか?変速を固定にするとその辺りの感覚もずれてくる気もします。

図i-3 仮のモーターの性能曲線
図i-4 適当な5速ミッションに付けた場合の走行性能線図

直流直巻モーターのカーティスのようなコントローラーの出力特性は左下図のような感じになります。多くの場合弱め界磁などの制御を入れないため出力特性は山形になります。

トルク一定の領域で最大トルクを出している場合、電池からの電流は少なくてもモーターにはコントローラーで制限された最大電流が流れています。最大出力点より右側で全開にしている場合、コントローラーは100%ONになり直にモーターと電池をつないでる様な特性となります。

この図を見ると出力が山なりなので基本的にトランスミッションが合ったほうが良いということになりますが、サーキットで走ってみると無しのほうが速かったりする場合もありますし、電池が減ってくるとトランスミッションとか関係なく電池の出力で最大出力が決まってきて変速しても駆動力が変わらなくなったりする場合もあります。私が直流直巻モーターで公道で走るEVを作れと言われたらミッション付にすると思います。サーキット用は悩みますが。

コンバートパーツ屋さんで売られているHPGC AC50のインダクションモーターは右下図のような感じです。

203-06-4001
図i-5 直流直巻モーターの出力特性例
(電池の特性・残量、コントローラーの特性でも変わります)
AC50
図i-6 HPGC AC50 出力特性図
(※HPEVSのWEBより)

j、性能曲線

ホンダLife(1997)の5速MTをコンバートすると仮定して比較してみます。

エンジンの特性はホンダのホームページ(カタログ)のデーターを使用しました。
Advanced Motors and Drives (AMD) 203-06-4001、120Volts-500Ampsの仕様で計算すると走行性能曲線は右図の様になります。走行抵抗は面倒なので省きます。グラフは電池の特性やコントローラーの特性、電池の残量によっても大幅に変わります。駆動系の効率は含めてません。走行抵抗も省きます。

図j-1 直流直巻モーターの走行性能線図

ついでに気になったのでLEAFとエンジン車の比較をしてみます。最近の車は走行性能曲線図を公開してないので古いホンダ車と比較です。LEAFはモーターの性能曲線から計算しましたが面倒なので駆動効率は含めてないです。販売されてるLEAFとは少し違うかもしれません。エンジン車の方は古いATなので最新のとはちょっと違うかなと思います。適当に重ねてるのでザクッとしたイメージ位で捉えて下さい。
1995.9 HONDA CIVIC 1.6L 4AT(120PS)とLEAF(赤線)の比較
(※HONDA HPより作成)
1993.5 HONDA INTEGRA 1.8L 4AT(170PS)とLEAF(赤線)の比較
(※HONDA HPより作成)